あれから教室に戻ると柚の荷物がなかった。



「柚は?」

「なんか帰ったみたい。」

「見なかったの?」

「うん……。柚希ちゃん、なんかあったのかな…」


―…ぜってぇあいつらだ。

「雪都くぅーん!」

「…誰?」



優衣と星川があいつの顔をみて

“あっ!”

っと小さく呟いた。


「どうした?」


俺が聞けない状況だって事を、理解してか海が2人に聞く。


「…さっきの…柚希を呼び出した人…」

「あの人リーダーだよ…」

「「!?」」



あいつが!?
しかもリーダー!?


「あれ…?柚希ちゃんいないの?…ふっ」



笑った?
今あいつ笑ったよな?
なんで笑うんだ?

意味がわかんねぇーよ!



「…お前柚に何した?」

「なにもしてないよぉ?」

この口調、声……






すべてが俺を苛立たせる。

なんかしたのはわかってんだよ……。


「言えよ」

「だからぁ、なにもしてな…」

「言えっつてんのが聞こえねぇのかよ?…言えよ」


女は一瞬怖がって悔しそうな顔をした。


「ねぇ……そんなに柚希ちゃんが大事なの?」

―…当たり前だろ。


俺がそう言うと女は続けた。


「幼なじみとして?1人の女の子として?」

「女―…」

「それって本当に好きなの?」

「えっ?」

「ただ一緒にいる時間が長くて勘違いしてるだけじゃないの?」


―…違う。


「一緒にいるのが当たり前だからいないと安心出来ない―…恋と勘違いしてるんじゃない?」


―…違う!


「柚希ちゃんが幼なじみじゃなかったら……好きになってたの?」


―…幼なじみじゃなかったら……?


「…即答出来ないんじゃん。それを本当に恋だと言えるの?」


それだけ言い残して女は消えた―……。