雪都に電話して、
あたしは荷物を教室からコソッと取って帰った。
「はぁ―…」
季節は11月。
肌寒い風が体に当たる。
寒いなぁ―…。
でも家には帰りたくない。絶対優にぃがいる。
あ、優にぃって言うのはあたしのお兄ちゃんで、大学1年なんだ!
『久遠優介』
って言うの。
「……」
1人で帰るのってこんなに寂しいの……?
いつも隣にいる人がいない―……。
雪がいない……。
“柚希ちゃんお手て繋いで行こう?”
……まだ小さかったよね。
“柚希早くしろよ”
……ちゃん付けしなくなった。
“柚早くしろよ”
……偉そうになった。
“柚トロイんだよ!”
……生意気になった。
―…でもいつも笑って隣にいてくれた。
雪……。
いつも隣にいてあたしに微笑んでくれて。
こんなあたしの側にいてくれてた―……。
雪……会いたいよ。