「ごめんな。俺を好きになってくれてありがとう。でも俺よりもっといい奴いると思う。……桜の気持ちには応えられない」
―…誰も傷つけない恋なんてできないと思う。
だけど、人は誰も傷つけたくないと願う。
―…俺だってそうだ。
傷つけたくない。
だけど、
誰かが幸せになるってことは誰かが傷つくこと。
傷つくことで成長することもある。
俺は―…
自分の気持ちには嘘はつけない。
だから桜を振るよ。
―…桜なら大丈夫だ。
どこかでそう思った。
「……行きなよ」
「え?」
「行くとこあるんでしょ?こんなところで寄り道してどうするの?…彼女弱そうだから泣いてるよ?」
―…桜…
「行きなよ!」
俺の背中を押して、
「バイバイ!高梨!」
ありがとう…桜。
「じゃーな、星川!」
忘れないよ。
いや忘れられない。
“バイバイ”
と言った桜の笑顔はすっげー綺麗で、
泣きたくなったから―……。