「はい、じゃあここまで」

眩しい光が教室に差し込み、黒板を反射させる。
チャイムの音と同時に礼が終わると、すぐにセンセイは捕まってる。


「ね、せんせ! 今日はお昼どこで食べるの?」
「職員室」
「今度車に乗せて?」
「丁重にお断りします」

「「ええ~~待ってよー」」


その光景は至って普通。
教室であろうと、廊下であろうと、玄関であろうと。

真山センセイという人は、女生徒に絶大な人気があるから。


「あ、センセ! 今日もいいオトコだね!」
「…それはドウモ」


廊下ですれ違う女子にそんなこと言われても、なーんにもない顔をして冷たくあしらう。


「あー真山センセって彼女いるのかなぁ~~」
「居そうで居なさそう!」
「ねーっ! 一度でいいからどっか行きたーい」


……教室まで丸聞こえですよ。


私はそんな黄色い声に心で突っ込みを入れて、数学の教科書を机にしまった。