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気づけば美雨は喫茶店のドアを押し開けていた

どしゃぶりの雨の中、客などほとんどおらず

店主の『いらっしゃいませ』の言葉もなく

ただ、ドアに取り付けられたベルの音だけが

カラン
カラン
カラン

と三度鳴り響いただけだった

美雨は迷わず男の元へと向かった

男のテーブルにはコーヒーカップが二つ置いてあったが、男しか席にはついていなかった