指定席に座ってから、伊澤さんはスーツのジャケットを丁寧に畳んで、ふぅっと一息吐いた。


「あー眠ぃ…」


必死に欠伸を堪える姿が、なんだか微笑ましい。

こんな伊澤さんを見るのはレアかも。


ていうか、人の欠伸を見てたら移るんだよね。


私も眠たいです。。



「流石に、始発となると結構キツイですね。ゆっくり休んでください」



普段忙しい人が、さらに忙しい時、しかも出張が重なって伊澤さんは相当疲れてるはず。


ちょっとでも長く寝てもらいたかった。



「いやいや。アヤキが起きてるのに俺だけ寝てたらおかしいでしょ?笑 だったら、アヤキもちゃんと寝て。な?」


でも、ふたりとも眠ったら、乗り過ごしが怖い。。


「大丈夫、大丈夫。たまにはいいよ。こんぐらい。ちゃんと、タイマーも迷惑になんない形で設定しとくから」


いつもの笑顔で軽く言ってのけるから、それじゃあお言葉に甘えて、とふたり揃って朝日が出始めた時間におやすみタイムに突入した。