赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜

(くっ……。いっそ殴ってしまおうかしら?)

殴った所でキサラの力ではジュークを止める事など出来ないだろうが、少なくともこの怒りは伝わるだろう。

そう思い、拳に力を込めた。


だが、その拳が振るわれる前に“ゴンッ”という鈍い音が響く。

「ゔっ……」

顔を歪め呻くジュークはそのままの体勢で止まる。


何が起こったのか分からないキサラは、何とか首をひねり状況を把握しようとした。

そしてジュークの体の向こうに見えた姿はーー。


「セラさん?」

いつもの無表情で、何故か片手にフライパンを持っていた。