闇に包まれた森の中。 霧も深く月の光すら届かない。 数歩先すら見えない様な場所に、銀の髪の女が静かに佇んでいた。 目を閉じ、何かを待っている様にその場を動かない。 どれ位そうしているのか。 僅かな風が銀の髪を揺らすと、彼女はやっと瞼を開く。 「出て来なさい、ジル」 淡々とした声で呼びかけると、彼女の視線の先にフードを目深に被った人物が現れた。 「お久しぶりです、セラ。探しましたよ?」 唯一見える口元に笑みを浮かべジルは言う。