フラフラと、おぼつかない足取りで女は路地を歩いていた。 長い黒髪を揺らし、普段は艶やかな顔には生気が無い。 夜でも明るい娼館街を嫌う様に細い路地に入ると、視界が一瞬暗転してよろけた。 壁にもたれ掛かり、視界が安定するのを待ってアンジーはため息をつく。 「こんなんじゃ、あの方はまた他の娼婦の所へ行ってしまうわね……」 そう呟いた顔は儚げにも見えた。 こんな風に血がたりなくて体調が悪くなったりしない限り、彼は毎晩の様に自分の所に来てくれる。