赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜

(それならそれでもいいかな……)

そう、思ってしまった。


どちらにしろもう逃げられない所まで馬は迫っている。

運命を受け入れるかの様にキサラは目を閉じた。


「キサラ様ぁ!!」

周囲の悲鳴より一際大きくクルスの叫びが聞こえる。

それが自分が聞いた最後の声ーーのはずだった。


目を閉じてすぐに感じたのは抱擁《ほうよう》。

その感覚に驚く暇も無く、キサラを抱いた人物は信じられないほど速くその場を飛びのいた。