「……なんで?」 「……俺の大事なモンの片割れ、かっさらっていきそうだからかな……」 「大事なものが二つに分かれちゃうの? え、壊れてない? それ」 彼方の大事なものなら、あたしだって護りたい。 そう思いながら言うと、彼方はメガネの奥で苦笑した。 「大丈夫、壊れてないよ。それに、片方は絶対手に入れるから」