「ああ、今の見てた? 別に俺が強いってわけじゃなくて、あっちが弱いだけだろ」 それは強さを持った者にしか言えない台詞ですよ。 ……とは、言えなかった。 「あれ、王子ちゃんじゃん。彼方知り合い?」 この声は初めて聞く。 いい加減立ち上がると、後ろにいた三人が彼方さんを囲んでいた。 「うん、友達」 「彼方の? 珍しー」 「初めまして、王子ちゃん。彼方の友達でーす」 やけにフレンドリーだった。 私もお辞儀を返す。 「彼方さんのお友達って、同じ学年ですか?」