「……ひむだって辞めたぞ」 「氷室くんの理由は聞きました。どうしていいのかわからない――今も悩んでいる最中みたいです」 だから、何も選べないでいる。 氷室くんは不安定な状態で、彼方さんは、足元はしっかりしている。 同じことを選んでいるけど、地は全然違うように見える。 「氷室くんは部活に入ることを選べなかった――彼方さんは――………」 かなたさん、は、 はたと、頭の中で絡まっていた糸がほどけた。 「恋理ちゃんを理由にしていませんか?」