母は高校を卒業してこの町にやって来た。
特に都会というわけではないけれど、父と母の故郷からすれば都会に見えたかもしれない。
母はきっと、親元を離れた解放感を味わいながら気ままな生活をしていたのだろう。
そんな中、いくつか恋だってしたと思う。
そのいくつかがまともな恋愛なら、事態はまだマシだった。
若くてそこそこ美人だった母は、そこそこモテたらしい。
その結果。
「父親が誰かもわからなかったの。高校を出て一年も経たないうちに結婚もしてないのに妊娠したなんて、誰にも相談できなかった」
悩んでいるうちに、子供はもう堕ろせない段階に来てしまっていた。



