お披露目の翌日、いつものように教室に入った瞬間襲われた。


「ブルートパーズぅー！」

　特に仲がいいわけでもないクラスメイトが抱きつこうと飛び掛ってくる。


　あたしはとっさの事で動けなくて、ただ驚いていた。


　その飛び掛ってきたクラスメイトを阻止したのは黒斗。

「はいストップ」

　あたしを守るように片腕で庇い、もう片方の腕でクラスメイトを押し返した。



　黒斗の本性を知っていなければ、キュンとしたであろう光景だ。


「ちょっとぐらい良いじゃねーか黒斗。朝の挨拶代わりに抱擁しようってだけだろー？」


「良いわけねぇだろ？　ジュエルへの必要以上の接触は厳禁。校則で決められてるじゃねぇか」

　呆れたように言った黒斗に、クラスメイトは困った顔で笑った。


「ははは……全く、黒斗がナイトじゃ敵わねぇよ。んじゃ普通に挨拶するよ。ブルートパーズ、おはよう！」

「あ、ああ、おはよう」


　あたしが挨拶を返すと、やけにあっさりと彼は自分の席に戻った。



　きっと、相手が黒斗だったからだろう。

　他のやつだったらきっと険悪な雰囲気になってたはずだ。