路地に誰もいないことにホッとしつつ、自分の心臓がドクドクと脈打っているのを感じる。 「ほんっと可愛い」 「やめてよ、そう言うの」 「じゃあ、可愛くするの、やめて」 ふわりといい香りが漂ってきた。 嗅ぎ覚えがある。 美奈実の使っているのと同じ柔軟剤の香りだ。 「あのねぇ、あたし、あんたより10も年上なの」 「えっ? そうなの?」 知らなかったのかよ。 「可愛いとか、あんたが言うのおかしいじゃない」 高校生にとっちゃ、オバサンでしょ?