人心は、木漏れ日に似る

廊下への出口近くにいる、数人の東院の生徒は、数学の課題に取り組んでいた。

東院では、宿泊学習の翌日締切の課題が、大量に出されている。


勉強をしていた1人が、不意に顔を上げた。


「塀河。
1階のロビーって、今静か?」


唐突に話し掛けられ、海里はああ、まあ、と曖昧な返事をする。

名前もうろ覚えなその生徒は、そっか、と呟いて、言葉を続けた。


「合宿中に課題とか、ヤバいよな。

東院ってとんでもねー学校だよ、やっぱり。

まあいいや。

おい、戸田。
ロビー静からしいから降りようぜ。

確か机もあったはずだし」


おう、と周りの何人かも、教科書とプリントを片付け始める。

それを横目に見て、海里は部屋を出た。


女子の噂をしようが、勉強しようが、迷子を探そうが、

それは個人の自由だと、海里は思う。