それはたった一瞬の、



慌てて起き上がると、ぐらぐらする視界の中で唇を尖らせる釧奈がいた。


「藍火起きるの遅いかも。あたしずっと待ってたかも!」

「あ、ご、ごめん…」

この状況でどうして謝らなければいけないんだ、なんて正常な判断ができるほど脳は覚醒していない。

そういえば私、どうしてここにいるんだろう。

よもぎちゃんと一緒に買い物をしていたはずなのに。


「びっくりしたよぉ。よもぎが、藍火が倒れたって騒ぐんだもん」

「え、そう…なの?」


倒れる前の記憶が曖昧だった。
あの時私は、どうして倒れたんだっけ。