「沙霧は体が弱いわけじゃない。でも誰かが付いてなきゃいけないのは本当だよ」 彼女の背後にある窓の外は、相も変わらず灰色で。 甲高くはない釧奈の低めの声がさらに真剣味を加えていた。 病弱じゃないのに、誰かが側にいないといけない。 矛盾しているようなそうでないような2つの言葉が、思考を乱す。 「これ以上は、内緒かも」 言い終わった瞬間に沙霧が呟いた。 釧奈を突き放した時とはまた違う、穏やかなのに暗い声。 「いい、釧奈。俺が言う」