それはたった一瞬の、



大丈夫だからと言い張る釧奈を無視するように半ば無理やり、私たちは片付けに加わった。

ふくれっ面の釧奈に、よもぎちゃんが言う。


「釧奈がそれでよくても、放っていく私たちが悪者のように見えてしまいます。
どうか手伝わせてください」

「むー…」

さすがよもぎちゃん、言いくるめ方がうまい。

「そうそう、みんなでやった方が早く終わるし」

よもぎちゃんの言葉に便乗して、私も腕まくりをした。


苦いような甘いような不思議な匂いは、部屋中にこびりついてしまいそうなぐらい強力だ。

「あたし、手伝おうと思ったんだよ。砂糖と醤油とみりんを入れろって言われて、それで…」