「藍火(アイカ)、朝だぞ起きろ」 「うるさいっ、言われなくても起きる!」 寝起きの悪い私の一日は、いつも父さんの声から始まる。 食卓の上には父さんが作った、決して上手とは言えない料理が並んでいる。 別に今どき父子家庭なんて珍しくも無い。 母親はいないけれど、不幸を自慢する気も無いし。 なんて、他の父子家庭の人が聞いたらきっと怒るんだろうけど。 「父さん、この目玉焼き不味い」 目玉焼きもまともに作れないのか。