【短編集】闇に潜む影



でも、ここ3日、彼女とろくに喋れないだけで、


僕の心はとても寂しかった。


この前までは温かい春の陽気だったのに、


突然冬の季節が到来したような、そんな感覚だった。





恋と言うのは、不思議なものだ。


幸せも運んでくるのに、一緒に寂しさまでもたらすなんて。




こんな手持ち無沙汰な感覚は、慣れていたはずなのに。


母親は既に亡くなっていて、それ以来父親はほとんど家に帰ってこない。


どこか、愛人の所にでも泊まっているのだろう。


だから、一人ぼっちなんてもう慣れているのに。