【短編集】闇に潜む影



いや、・・・僕の疑い深さがそう見せたのかもしれない。


僕ははっと我に返り、彼女に謝った。


「ごめん、責めちゃって。ただ、連絡くらいもらえたら、と思ったんだ」


僕はそう吐き捨てると、逃げるようにその場を走り去った。


その日は、一人で家に帰った。


誰もいない家に一人、僕はその日の自分を責めた。


「それくらい許してやれよ、器の小さい男だな」と。








そして、急いで彼女にメールをする。




「今日はごめんね。いきなり怒っちゃって。


でも、遅れるのであれば、メールを送ってくれると嬉しい。本当にごめん」