【短編集】闇に潜む影



次の日、いつもと同じ下校時間で昇降口で彼女を待っていた。


だけど、彼女の姿はまたいつもの時間に現れなかった。


確かに彼女はこの時間にここに現れるのだけど。





でも、たまにはこういうこともあるだろう。


僕はもう少し待った。


5分。


来ない。


10分。


まだ来ない。


15分。


まだ、まだ来ない。


20分。


昨日メールしたのに。


なぜメールすらくれないのだろう。


25分。


「・・・あれ、どうしたの?」


きょとんとした顔をして、彼女は僕を見ていた。


彼女の隣には、同じクラスだろうか、友達らしい人がいた。


僕は少し頭に血が上っていて、彼女を責めてしまった。


「何で連絡くらいくれないんだよ。待ったじゃないか」


「・・・え?」


その時見せた彼女の表情は、今まで見たことのないようなものだった。


人を見る目ではない。


何か、悪いものを見たような、何とも言い難い感情がそこに含まれているように思えた。