【短編集】闇に潜む影



もう、いつの頃かは思い出せない。


だけど、母は、大声で泣きじゃくる私を蹴り倒して、


こう怒鳴った。





「そうやって隣近所に聞こえるようにわざと泣いているんだろう!?」






だから、悟ったんだ。


泣くことは、悪いことだって。










それなのに、隣の見知らぬ少年は、


泣いても良いよと、泣くことを許してくれた。









だから、泣いた。


泣くことが、やっと出来た。