【短編集】闇に潜む影




運が良いのか悪いのか、


屋上の扉の鍵は何故か開けっ放しになっていた。


扉を開けると、ひゅう、と風が吹き付けてくる。


夕方に吹く、初夏の風は心地よい。


こんな素敵な夕方に、


人生を終える事が出来るのは、


もしかしたら今まで生きてきた中で最高の出来事なのかもしれない。


そんなことを取り留めもなく考えながら、私は屋上をゆっくりと横切っていく。