「お母さん、お母さん」

「……なに?良音(らいん)……」

「……元気出して」

「出るわけないじゃない……ッ……」


目にハンカチを抑え込む母。


「ママ」

「もう、なによパパまで……」

「いや、母さん目の前にいるから……」

「え!?」


……そんなお葬式の光景でした……。





それから間もなく、あたしたちはお引っ越しをすることになったのです。

引っ越し先は父の実家。

そう、祖母の家。


そして実はあたし、父の実家に行くのは初めてだったりします。


「そういえば初めて行くのに、早速そこで住むんだね」

「あの家には誰かしら居なくちゃだから」