“彼は私の気持ちなんて、全然知らない” …なんて、嘘。 彼は知らなくてもいいこと全て、知り尽くしていたんだ。 『……。』 直也に取り残された私は、帰り道をトボトボ歩く。 ついさっきまでは、直也の後ろではなく、隣に行きたいと思う私がいて。 たった今、隣どころか、直也の後ろ姿でさえ消えてしまった。 いつの間にか、あなたの後ろ姿を、頼もしく思っていた私がいたんだ。