それでも、頑固な桜の花びらは、私の髪から離れなかったらしい。 どんなに頭を振っても桜の花びらがとれない私を見て、彼は面白そうに、無邪気に笑った。 「とって、あげようか?」 ――ねぇ、知らないんでしょ?? 私の胸が今、トクンと波立ったことも。 手で口を覆うように笑うあなたの姿を見るだけで、私の胸はキュンとすることも。 私があなたを好き、なことも。 近いようで、あなたは私のことを何も知らない。