――それはあまりにも突然で、ほんの一瞬のことだった。 『……っ…!?』 グイっ、と。 しゃがみ込んでいたら、後ろからブレザーの肩の部分を引っ張られて。 香水とかではなく、だけど安心できる香りをすぐそばに感じた。 『……。』 …どうしよう。 後ろが、見れない。 本当に彼かどうか確かめたいんだけど、怖くて振り向くことができないの。 浅野目くんは、私の後ろにいるであろう彼を見て、目をまん丸に見開いていた。