きっと、彼はまだ何も知らない。 「…ねぇ、愛未。」 『な、なぁに?』 その少し前にある立ち止まった背中、とか。 その半分だけ振り向いた、くるんとした瞳、とか。 「髪に、桜の花びらがついてる。」 全部、全部が、私にとって愛しいものだなんて。 彼はひとたまりも、ほんの一瞬さえも思ったことがないだろう。 『えっ、嘘!』 そう言いながら、自分の髪のあちこちを触りまくる私。 …今、顔絶対赤い。 恥ずかしくて、顔が火照ってるのが自分でもわかるもん。