不意を突かれた朱美だったが、「ちょっと!」嫌悪感交じりに治樹とその弟を呼ぶ。
窓から侵入、また窓から出て行こうとする下川兄弟は揃って振り返り、綻んできた。


「さようなら、半分だけ家族な…、おれのお姉ちゃん」


「しっかり親父に、下川道雄に愛されろよ。
おっと違った…、福島道雄だったな。
あいつは妻の苗字を借りてるみてぇだからな。


内縁の夫みたいだが…、あいつに愛されろよ」



―――…。




え?




朱美は小さく呟き、兄弟を見つめた。

最後に治樹は目尻を下げて言う。



「てめぇの笑顔、那智に似てた」



どうしてそれが似てるって思ったか、ずっと不思議に思ってた。
他人の笑顔に反応することの無い俺が、てめぇの笑顔に何かを感じた。


なんでだろ。


考えに考えて、結論。


てめぇと俺は半分他人じゃなかったからだ。




「親父を追い詰めた俺等が憎かったら探し出してみせろ。

俺も那智も、てめぇの憎しみに受けて立つ。


もっとも、あいつが俺等にしたこと…、てめぇの親父の苦しみと比較する価値もねぇと思うけどな」



純な笑顔が一変。

下川治樹はシニカルな、まるで悪魔のような意地の悪い笑みを浮かべて呆ける朱美を流し目で見やった。




自分達が起こすべき、

すべての復讐は、




―――…これにて、完了。




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