「関係ねぇ話かもしれねぇが、下川治樹の友人が行方不明だって?」


「はい。先ほど部下から入った情報なのですが、佐藤優一という青年が昨晩から行方不明。
それから高村彩加が重傷を負っているそうです。

彼女は不可解な事を口走っているとか」


「不可解? というと?」



「『全部話したら迎えに来てくれる。彼女にしてくれる。彼はそう言ったの!』
なんて言ってるそうです。


どうやら彼女は下川治樹に片恋を抱いているようで」



「…はぁー…、そりゃまた厄介な。
あの野郎、その女性に何を吹き込んで、何を仕掛けやがった」



益田は懸念を抱く。
柴木も同意見だった。



策士である下川治樹は何を、何を…、仕掛けた?



必ず意図がある筈だ。


しかも自分にとって得のあることを、仕掛けたに違いない。