「プリザーブドフラワーは保存状態が良ければ、いつまでも瑞々しく美しい姿を保ち続ける。
だけど保存状態が悪ければ、すぐに朽ち果てる。
あんた達もそういう風に見えるわ。
いつまでも仲の良い兄弟を保ち続けようとしてる。
だけど仲に妨げがきたら、仲に亀裂でも走ったら、きっとすぐに朽ち果てる。
そういう脆くも美しい兄弟愛が、あんた達には芽生えてるのよ」
包装を終えた福島はプリザーブドフラワーとサボテンをビニール袋に入れる。
さっさと渡してくれ。
手を出す俺を一瞥した福島は、うんと一つ頷いて袋を渡してくれる。
渡してくれ…、なんでこいつ、手を放してくれねぇんだよ。
「ナナシ女、何の真似だ?」
低く唸れば、
「あと15分でアガリなんだけど」
今日は朝から入っていたから二時には上がれる。
ちなみに大学の講義は今日、入れてないから大学をサボったわけじゃない。純粋に今日は働き日和。バイトがあがったら暇。
と、俺に言ってくる福島に、思わず眉をつり上げちまう。
で?
「俺にどうしろと?」
「あんた、暇でしょ?」
「いや、全然」
「少し付き合いなさいよ」
「ヤなこったい」
「15分も待てない男なわけ?」
「そういう意味じゃねえ。なんで俺がてめぇなんぞのために15分っつー貴重な時間を無駄にしないとなんねぇ」
「秒数にするとたった900秒よ。1000秒にも満たないわ」
「生憎だが900秒も、だ。俺の中じゃ」
「何よ、いいじゃない。ドケチ男」
「るせぇ、ナナシ女」
視線をかち合わせて、俺達は青い火花を散らす。
そんな異様な空気を漂わせてたら、
「あらあら」
仲が良いわねと店内の奥の部屋からおっとりとした女店員が出てきた。
どうやら店長らしい。
のほほんと笑顔を向けて、俺等のやり取りを見つめる。



