【尚哉SIDE】 「昨日ね、本宮先輩にキスされそうになったんだ」 昼休み、急に沢村が言い出すから、思いっきり顔をしかめて隣を見る。 子猫の額を指先で撫でる沢村の横顔は、心なしか元気がないように見えた。 「されそうになった?」 「うん。あたしが途中で止めたから未遂だけど」 「は? なんでおまえが止めるんだよ」 本宮があんなに好きなくせに。 意味が分からなくて見ていると、沢村が目を伏せる。 ……こいつ、目腫れてる。 「先輩に、後悔して欲しくなかったから」 「後悔?」