【尚哉SIDE】
「そっか……。よかった」
さっきまで俺の事を思いっきり睨んでた沢村が、はにかむように笑った。
そして、本当に嬉しそうに微笑んで俺を見る。
「都築くんに実は嫌われてたのかと思っちゃった。
そうじゃなくて、よかった」
「……そーいう意味深な言葉、あんま言わねー方がいいんじゃねーの?」
「勘違いされると困るから?
……でも、都築くんモテるから言われなれてるでしょ。
それに、あたしの気持ちも知ってるし」
歩き出した沢村に合わせて、隣を歩く。
沢村は心底安心したみたいで、足取りが軽い。
普段歩かない駅までの道は、割と人通りが多くて、その中にはうちの学校の制服着たヤツもいた。