【尚哉SIDE】
目はまだ少し充血してるけど、いつも通りの沢村に安心する。
沢村は落ち着いた声で話し出した。
「そうかなって思ってたんだよね。
こないだのお財布の件も、今回も。
けど、嫌がらせとか考えるのってあたしの自意識過剰なのかな、とか思ってたんだけど……、そっか。やっぱりそうなんだ」
俯きがちに、真顔のまま言う沢村。
ショックを受けてんのかと思って声をかけようとした時。
沢村が顔を上げた。
「さっきね、津田さんがあたしに謝りにきたの」
「津田が? ドタキャンの事で?」
「そう。津田さん、最初は本当に来てもらうつもりで、バンドにも話が通ってたんだって。
都築くんが生徒会に入ってるから、少しでも協力してあげたいって思ったらしくて。
でも、途中から佐藤さんに入れ知恵されたらしくて」