「………っ……」


喉の奥に、熱いものがこみあげる。


…俺は、俺でいていいの?


早水 元也で、いてもいいの……?








カバは、俺の肩にかけていた手を外して、言った。


「…お前が殴ったっていう相手は……八田工業の、バスケ部員だったんだよ……それで向こうが、お前を何処かで見たことがあるっていうので、それがバスケの試合会場だったというのを、思い出したらしい。それで…まあ、仕返しに、連盟に訴えでたわけだよ…」


俺は必死であがいた。

「でも…それは向こうだって―……」


言葉が、続かない。


俺は、アイツへの苛立ちだけから、あんな行動に走ったのか…?


自分で自分を許せない…、…″俺″自身への怒りだったんじゃないのか―?





「…向こうも、悪い。…さっき、お前は自分で、自分の方が悪かったって…言ったな。」


「…それはわかってるよ―!でもだからって向こうの非は認められなくてこっちだけ出場停止なんて―っ!」



目の色を変えて、必死に言葉を並べようとする俺に、カバは顔を背けて…言った。



「……相手は、内臓出血で…入院しなければならないそうだ…」