私の頬に流れる涙は、誠先輩の手によって、止められた。


すぐるじゃ……ない。


それでも、目の下の腫れは翌日には治まっていて、誠先輩からの《家の前で待ってるから、一緒に学校行こう》というメールで外に出る気になれた。


「碧、もう大丈夫なの?」


仕事に出かける準備をしながら、お母さんが聞いてくる。


「うん。大丈夫だよ」


自分が思っていたよりも、もっとずっと元気な声が出た。


鏡を見ると、沈んでいる気持ちと対照的にいつもの笑顔の自分がいた。