雨音色

「何故ここにいらっしゃるのですか?」


振り落ちる雨音の中で、彼はその人を見つめた。


鋭い視線が返ってくる。


「なぜここが分かったのか聞きません。

しかし、ここは貴方の様な方が来られるような場所ではございません。

早急にお引取りください」


その人が近づいて来る。


どしゃぶりの雨の中、足音が何故かよく聞こえた。


傘の影でよく見えなかった顔が、はっきり見えてきた。


「・・・タマさん、でいらっしゃいましたよね」


彼が呟いた。


「貴方様は此処に来られる資格などございません。

山内家を欺いた罪の大きさは、例え故意でなくとも計り知れません。

お引取りになられないのであれば、警察の方に連絡をいたしますよ」


厳しい声が、雨と共に彼を突き刺す。


「申し訳ありません。

歩いていたら、立派なお屋敷が見えたので、つい見とれてしまいました。

ここが山内様の邸宅であったとは露知らず。

無礼をお許しください」