その時、ネコが車を下りて携帯電話へと歩いて行った。 「……っ!」 青ざめたままの沙耶香は声が出ない。 ネコが携帯を手に取り、汚れを払っているのが見える。 携帯電話は二つ折りで、薄いグリーンをしている。よく、見覚えのある形だった。 電源が入るかどうか確かめながら、こちらへ近づいてくるネコ。 沙耶香の呼吸が荒くなっていく。 苦しいのか、時折大きく吸い込んでは小さく小刻みに吐き出す。