一人で居たくない


「誠治さん 私をどこかに
 連れて行ってください」

「いいけど オレ
そんな有美ちゃん見てたら
 弱みに付け込むよ」

「いいですよ 忘れられるなら・・・」


誠治さんが車を発進させようとした その時

康介の車が近づいた


「ほら・・・居たじゃん」

と 優しく私の頭を摩った


康介は車を降り こっちの方へ歩いて来た
 
誠治さんは窓を開け

「なんか用?」

と わざと冷たく尋ねた


「いえ ゆ・有美を返してください」

「ハァ?有美を帰せだと  
 有ちゃんは物じゃないぞ」


始めて見る誠治さんの迫力に私も驚いた


「返す代わりに一発殴らせろや」

言い終わる前にもう殴ってた

「痛てぇ!!」

「痛いか?」

「・・・はい!」

「ゆうちゃんの心はそれ以上に痛いんだぞ
 泣かすな とにかく泣かすな!
 今度泣かしたらオレ貰うから」

「わかりました」