敵国の戦闘機に突っ込んだはずの俺は、気付いたら花枝と会っていた寺の境内にいた。
なぜだろう。
俺は死んだはずなのに。
それでも確かにそこはあの寺であった。
わけがわからない状況に戸惑ったが、明るく考えてみた。
もしかしたら全て夢だったのかもしれない、と。
それでも自分が霊であることに気付いたのは、風に舞った葉が俺を貫通したからだ。
ああ、なるほど。
やっぱり俺は死んだのだ。
そう納得するのは割りと早かったと思う。
花枝に未練のある俺は、ここにいればいつか花枝に会えるかもしれないと思い、しばらく境内に居ついた。
しかし、待てど暮らせど、花枝はいっこうに現れない。
どれほどの間待ちぼうけていたろうか。
月日は年単位……いや、何十年単位で経過した。
霊になると、生きている人間とは感覚が変わるらしい。
それでもなお、花枝が変わらぬ姿でやってくることを信じて疑わなかった。



