浮気女の嫁入り大作戦


「気持ち悪い……」

 タクシーに乗っている間に奈緒の酔いが悪い方に進行してしまった。

 顔は青白く、今にも死にそうな顔をしている。

「マジかよ、大丈夫か?」

「ダメ」

 奈緒の住むアパートまではもう少しだ。

「こんなとこで吐くなよ?」

「わかってるもん……でも気持ち悪い」

 この会話に運転手が反応した。

「お客さん、そこのコンビニで下ろしましょうか?」

 運転手だってここで吐かれてはたまったもんじゃないだろう。

「お願いします」

 沢田はそう返事をして、メーターを見ながら会計の準備をした。

 奈緒は窓に額を貼り付け唸っている。

 タクシーが停まったところで沢田が奈緒を引きずり出し、コンビニのトイレに入るよう促した。

 しかし彼が釣り銭を受け取り振り返ったときには、奈緒は路肩の溝の前で力尽きてしまっていた。