これはマズい。
酔っている上にすっかりふてくされモードだ。
いつもなら酔っ払うのは電話の後だが、今日は酔うのが早すぎた。
「どうしたの? 何があったの?」
「樹のせいなんだから」
いや、決して樹のせいではない。
「え? 俺のせい? あ、もしかしてこの間言ってた男のこと?」
「違うもん」
「じゃあ何? 俺、何かした?」
俺と沢田は奈緒の様子をヒヤヒヤしながら眺めている。
生きていた頃もそうであったが、俺の嫌な予感というのはすこぶる当たる。
奈緒は酔った勢いで、とうとう口に出してしまった。
「樹が結婚してくれないのが悪いの!」
あーあー。
言っちゃった。
「結婚?」
「そうよ。樹が結婚してくれれば、全部解決なんだから」
沢田がテーブルに突っ伏しながら話す奈緒の頭をそっと撫でた。
苦笑いだ。



