浮気女の嫁入り大作戦


 この日、居酒屋にて。

「辞めてやる! 結婚したら、絶対に辞めてやるんだからぁ」

「あーはいはい。結婚できたらな」

「できるもん。作戦うまくいってるもん」

「まだ月曜だぞ。飲みすぎ」

 ビールとサワーで酔っ払った奈緒は、溜まったストレスを沢田に向かって発散している。

 俺はそんな姿を眺めながら、嫌な予感がしていた。

「飲んだっていいじゃない」

「いいけど。そろそろ彼氏から電話が来る頃だろ」

 と、沢田が告げた頃にはすでに奈緒の電話が鳴っていた。

 真っ赤な顔をして携帯を取り出した奈緒は、樹の名前を見るなり泣きそうな顔になる。

「もしもし」

 奈緒はふてくされたような声で電話に出た。

「あれ? どこか店にいるの?」

「居酒屋よ」

「飲んでるんだ」

「飲んでるよ。飲まなきゃやってられないのよ」