奈緒の日常業務はいつも通り退屈な肩が凝る作業だ。
デスクに着きパソコンを操り、営業担当者から提出された原稿をカチカチと誌面の形に仕上げていく。
画面ばかりを相手にしていると、奈緒からはじわじわとストレスが漏れてきた。
生憎俺には応援してやることしかできない。
「奈緒ちゃーん」
今やっと調子が出始めたところで、課長が奈緒を呼びつけた。
「何でしょう?」
中年でダサいメガネの課長は、
「悪いんだけど、コーヒー持ってきて」
と、空いたカップを奈緒に見せつける。
奈緒のストレスはここでピーンと音を立てたように増した。
(自分でやれよ。あたしはお茶汲みババァじゃないっつーの)
腹の中でそう思いながら、にっこりと笑顔を作る。
「いつも悪いねぇ」
「いえいえ」
(悪いとか思ってないくせに。ハゲちまえエロオヤジ!)
上司に媚びて損はない。
それが奈緒の信念である。



