「作戦成功ってとこ?」
「まーね」
「ふーん。良かったじゃん」
「うん。でも、結局結婚の話にはならなくてさ」
「そうなの?」
「でも、態度は急変したし、効果はあったと思うんだよね」
「そっか」
もっと大きな存在に気付かず、のん気に笑っている奈緒。
本当は結婚なんてして欲しくないくせに、親切に話を聞く沢田。
俺がため息をつくと、沢田が吐いた煙に届いたような気がした。
そんな時だった。
カチャ、と軽い音を立てて扉が開いた。
「あ、おはようございまーす!」
元気よく部屋に入ってきたのは、先日入社してきた真琴だ。
「おはよう」
「今日、夕方から雨降るらしいですよ~」
真琴はカップにコーヒーを注ぎ、砂糖とミルクを入れながら語りかける。
「マジ? 俺傘もってねー」
「コンビニで買えばいいじゃない」
「うーん、家に傘、もう5本くらい溜まってんだよな」
「天気予報くらい見なさいよ」



