奈緒の作戦により、樹に多少の危機感を持たせることができた。
それもあってか、この日の樹は奈緒を繊細に扱った。
「夜はまだ冷えるね。寒くない?」
「うん。大丈夫だよ」
「手が冷たいじゃん。ほら、繋いでよう」
奈緒は心の中で「やった、上手くいってる」と思っているのだが。
夜、エクササイズもいつもよりサービス旺盛で、久々に樹で満足をした奈緒は、すこぶる上機嫌で眠りについた。
翌月曜日。
奈緒はいつものように給湯室で喫煙していた。
そして沢田が大あくびをしながら入ってきて、いつものように奈緒の隣に立つ。
「おはよ。今日は機嫌がいいみたいだね」
「そーお?」
という顔がにやけている。
沢田はクスッと笑ってタバコに火をつけた。
二人の吐く煙が気だるそうに換気扇に飲まれていく。



