浮気女の嫁入り大作戦


 見えた瞬間、俺は挨拶すら交わせなかった。

 メラメラと怒りのオーラをたぎらせているのは、日本人の霊ではなかった。

 色黒で、癖のある黒髪。

 独特の濃い顔に民族性を感じる。

 彼は恐らく、インド人だ。

 高そうなスーツを着ている。

 人種差別のある国家だ。

 高等な部類にあたる者だろう。

 時代としては俺より新しい霊のようだ。

 しかし、なぜインド人が憑いているのだろう。

「――――、――――」

 何か言っているが、何を言っているのかわかるわけもない。

 俺はとりあえず、

「ナ、ナマステ……」

 と手を合わせてお辞儀をしてみた。

 彼は更に怒ってしまった。

 俺は挨拶をしただけなのに。

 失礼なやつめ。